浮気調査でGPSを使うのは違法?法律の線引きと証拠としての限界

浮気調査のGPSは違法

パートナーの行き先を確かめたくて、GPSを使えないかと考える方は少なくありません。小型の機器は数万円で手に入り、スマートフォンにも位置情報を共有する機能が備わっています。

ただし、相手の承諾なく位置情報を取り続ける行為は、2021年8月からストーカー規制法の規制対象です。2025年12月には紛失防止タグも同じ扱いになりました。夫婦や交際相手であっても例外ではありません。

この記事では、GPSを使った浮気調査がどこから違法になるのか、警察庁と警視庁の公表資料をもとに整理します。あわせて、GPSの記録が不貞の証拠として弱い理由と、探偵事務所に相談したほうがよい場面をまとめました。

目次

浮気調査でGPSを使うと違法になるのか

違法になるかどうかは、相手の承諾があるかどうかで決まります。機器の種類や小ささは関係ありません

行為扱い
相手の承諾なく持ち物や車にGPS機器を取り付けるストーカー規制法の規制対象
相手の承諾なくGPS機器の位置情報を取得するストーカー規制法の規制対象
相手の承諾なくスマートフォンに位置情報アプリを入れて位置を取得するストーカー規制法の規制対象
相手の承諾を得たうえで位置情報を共有する規制対象にあたらない

「超小型だから見つからない」「シール型なら大丈夫」といった機器の性能は、違法かどうかとは関係ありません。

ストーカー規制法はどこまで規制しているか

ストーカー規制法は、恋愛感情やそれが満たされなかったことへの怨恨の感情を満たす目的で行われる一定の行為を規制しています。2021年の改正で、この規制対象に位置情報の無承諾取得が加わりました。

警察庁の公表資料によれば、経緯は次のとおりです。

  • 元交際相手などの自動車にGPS機器をひそかに取り付け、位置情報を取得する事案がみられた
  • 令和3年5月26日に改正法が公布された
  • 令和3年6月15日から、実際にいる場所の付近での見張りなどが規制対象に加わった
  • 令和3年8月26日から、GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等が規制対象に加わった

罰則は警視庁の案内に示されています。

行為罰則
ストーカー行為1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第18条)
禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(第19条)
禁止命令等に違反した場合6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(第20条)

このほか、相手の自宅の駐車場に立ち入って機器を設置すれば住居侵入罪、他人名義の車に取り付ければ器物損壊が問題になることもあります。

夫婦・恋人間なら問題ないという誤解

「夫婦の車は共有財産だから自由に取り付けてよい」という説明を目にすることがありますが、そのまま受け取るのは危険です。

  • ストーカー規制法は、配偶者や交際相手を対象から除いていません
  • 車の名義が自分であっても、相手が日常的に使っている車に無断で取り付ければ、位置情報の無承諾取得にあたり得ます
  • 名義が相手や第三者であれば、設置行為そのものが別の罪に問われる可能性があります

2021年より前は、GPSの取り付けが従来の「見張り」にあたるかどうかがはっきりせず、夫婦間なら問題ないという説明が広く出回っていました。その前提はすでに変わっています。

AirTagなど紛失防止タグも規制対象に

GPS機器は衛星を介して位置情報を送りますが、AirTagに代表される紛失防止タグは仕組みが異なるため、長らく規制の外にありました。この差は2025年の改正で埋まっています。

警察庁の公表資料によれば、令和7年12月10日に改正法が公布され、次の内容が施行されました。

令和7年12月30日から施行された内容

  • AirTagなどの紛失防止タグを、相手の承諾なく取り付けたり、位置情報を取得したりする行為が規制対象になった
  • 被害を受けた人が届け出ていなくても、警察が自分の判断で加害者に警告を出せるようになった

令和8年3月10日から施行された内容

  • 相手の住所や連絡先などを聞き出そうとする者がいた場合に、警察がその情報を教えないよう周囲に求められるようになった

警察の判断だけで警告が出せるようになった点は見落とされがちです。相手が警察に届け出ていなくても、警告を受ける場合があります。

GPSの記録だけでは不貞の証拠にならない

仮に位置情報が手元にあったとしても、それだけで不貞行為を示すことはできません。

GPSでわかることGPSでわからないこと
いつ、どの地点にいたか誰と一緒にいたか
どのくらい滞在したか建物の中で何をしていたか
どのルートで移動したか相手が誰であるか

ホテルに長時間滞在した記録が残っていても、同行者が特定できなければ不貞行為の裏づけにはなりません。加えて、違法な手段で得た情報は、裁判で使えないばかりか、こちらが加害者として扱われる材料になります。

編集部が探偵事務所の現場の方に行った調査でも、依頼者が過信しがちだが証拠力は弱いと感じるものとして、GPSの位置情報が35.6%で上位に挙がりました。詳しくは浮気証拠の認識ギャップ調査にまとめています。

浮気調査の依頼者に過信されがちだけど、裁判では証拠力が弱いと感じるものはどれですか?

相手の承諾があれば使える位置情報の共有

位置情報の共有そのものが禁じられているわけではありません。相手が承諾したうえで設定するなら、次のような機能は問題なく使えます。

名称提供元特徴
探す(Find My)AppleiPhone・iPadに標準搭載。相手のApple Accountでの設定と、位置情報の共有を相手が承諾していることが前提
ファミリーリンク・位置情報共有GoogleAndroidで家族間の位置情報を共有する機能。招待を相手が受け入れる形で設定する
Life360Life360家族やグループ単位で位置情報を共有するアプリ。無料の範囲でも現在地の確認ができる

いずれも、相手が共有を承諾していることが使える条件です。相手のスマートフォンを無断で操作して設定した場合は、承諾があるとはいえません。

一方、相手に気づかせずに通話履歴やメッセージまで取得する監視型のアプリを無断で入れる行為は、不正指令電磁的記録供用罪や不正アクセス禁止法違反に問われる可能性があります。不正指令電磁的記録に関する罪については警視庁の解説を参照してください。

スマートフォンやLINEを見る行為の法的な線引きは、他人のLINEを見る監視アプリの法的リスクで詳しく解説しています。

探偵事務所に相談したほうがよい場面

自分で位置情報を取ろうとするより、はじめから探偵事務所に相談したほうが早い場面があります。

  • 慰謝料請求や離婚を考えており、裁判で使える証拠がほしい
  • 相手が誰と会っているのかを確かめたい
  • 相手がすでに警戒しており、これ以上こちらから動くと関係が壊れる
  • 自分でやってよい範囲かどうか判断がつかない

探偵業者は探偵業法の届出をして営業しており、調査の方法にも制約があります。無断でのGPS設置は探偵が行っても規制対象になる点は変わりません。相談の際に、どの手段で調査するのかを確認してください。

事務所ごとの料金や実績の違いは、浮気調査でおすすめの探偵事務所ランキングで比較しています。

よくある質問

自分名義の車なら、妻や夫の使用中でもGPSをつけてよいですか

車の名義が自分であっても、無断で取り付けてよいことにはなりません。相手が日常的に使っている車であれば、位置情報の無承諾取得にあたり得ます。名義は、誰が車の位置情報を取ってよいかを決めるものではありません。

レンタルGPSなら合法だと聞きましたが本当ですか

機器を借りたか買ったかで、違法かどうかが変わることはありません。GPSのレンタル事業者は、車両管理や子どもの見守りなど、承諾のある使い方を前提に機器を貸しています。

事業者が問題なく営業していることは、借りた人がどう使ってもよいという意味ではありません。

AirTagを相手のかばんに入れるのはどうですか

2025年12月30日から、紛失防止タグを用いた位置情報の無承諾取得等が規制対象です。取り付ける行為自体も対象に含まれます。

GPSで得た記録を裁判で使えますか

位置情報だけでは同行者を示せないため、不貞行為の裏づけとしては弱いものです。加えて、違法に取得した情報を持ち出せば、こちらの立場が悪くなります。

相手にGPSをつけられている側です。どうすればよいですか

最寄りの警察署または警察相談専用電話(#9110)に相談してください。日時や気づいたきっかけを記録しておくと相談が進みやすくなります。

浮気調査のGPSは違法

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